【展示公開中】『理論と観測~望遠鏡の歴史』(2024年5月7日~開催)
『天文学は理論と観測の両輪で進む』
見えないものを見てみたい。
その気持ちが観測機器を進歩させます。
空を見上げ、この世界はどうなっているのか。
それを知ろうと人類は理論を積み上げ、世界の真理を探ってきました。
科学の正しさは、中世ごろまでは神が担保し、近世以降は再現性が担保するようになっていきます。
天文学において、その転換点は望遠鏡の発明といえます。
17世紀の初め、ガリレオ・ガリレイが宇宙に望遠鏡を向け、木星の衛星を発見したことから、すべての天体は地球を中心に回っているのではない、ということが観測によって証明されます。
地球は神が人間のために作ったもので、だからこそそれを中心に回っているのだ、という考え方から脱却していくことになります。
より遠くをより詳しく。
見えないものを、見てみたい。
こうして望遠鏡の性能が上がっていくにつれ、人類の世界に対する解像度も上がっていきます。
その様子は、15世紀の星図と17世紀の星図を比べてもよくわかります。
今回は望遠鏡の発展の歴史を模型で見ていくとともに、星図の変遷から天文学の発展を見ていきます。
そして、現代。人の目では見えない光も制御し、私たちは宇宙を見ることができるようになりました。宇宙の始まりも予測ができるようになり、新たな天文学の分野も発展していきます。
その一つに当館の解説員が予測にかかわったSL9(シューメーカーレビー第九彗星)の木星衝突があります。
この出来事は、世界で初めて天体にほかの天体が衝突するのを予測し、観測できたという意味で大きなイベントでした。そして、これにより、地球へのほかの天体の衝突が起きる場合にいち早く予測する必要性があると考えられるようになり、地球の近くを通る天体の監視(スペースガード)が行われるようになったのです。
今回はそれにまつわる展示もご覧いただけます。
学問は、すそ野が広ければ広いほど優秀な学者が発展させていくものです。そのすそ野を広げるものの一つにプラネタリウムが挙げられます。
その観点から、昨年100周年を迎えたプラネタリウムの展示も一部、引き続きご覧いただけます。
望遠鏡の発展と天文学の発展にまつわる展示をお楽しみいただければ幸いです。
◆日程
2024年5月8日(水)~
平日 12:00~20:00
土日祝日 10:00~20:00
月曜休館(月曜祝日の場合は翌平日が休館)
◆料金
観覧無料
※プラネタリウムをご覧いただく場合には別途料金がかかります。
◆展示内容
・天動説の世界
天動説の星図、プトレマイオス、アピアヌスの天文学書
・望遠鏡の発明
ガリレオの望遠鏡
16世紀の星図(天から見た星の世界)
・望遠鏡の発達、より遠くをより鮮明に見られるよう、
様々な工夫が凝らされる。
コペルニクス、ティコブラーエ、ケプラー
へべリウスの屈折望遠鏡(空気望遠鏡)
ニュートンの反射望遠鏡、グレゴリー式反射望遠鏡
※ここで望遠鏡の作り方が違うものが登場する。巨大な装置から小さくて性能の高いものを作れるようになる。
・ハーシェルの40フィート望遠鏡、18世紀の星図(地上から見上げた形になり、周りの説明がかなり詳しくなる)ヤーキス天文台望遠鏡(世界最大の反射望遠鏡)
岡山天文観測所、20世紀の星図、電波望遠鏡、宇宙望遠鏡のパネル
プラネタリウム100周年記念関連展示
シューメーカーレビー第九彗星の木星衝突から30年にまつわる展示、観測時に使われたシュミットカメラ(サイズ違いの模型)